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アパレルメーカーと百貨店間の SCMの進展に伴い、「値札レス」
の検討が進んでいる。百貨店ごとに異なる値札の取り付けを廃止して、JANコードによるソースマーキングに統一すれば、業界全体で
300億円のコスト削減が見込まれ、これにより生じる利益の配分を検討すべき時期にきている。
しかしながら、来年 4月にも導入が見込まれる 「総額表示」 方式の動向如何では、この 「値札レス」 構想も根本的に検討し直さなければならず、苦慮している。
もともと、SCM (サプライチェーンマネジメント)
のコンセプトにおいては、業界がもっとも注力すべきなのは消費者満足度の向上であり、消費者が購入する商品価値と無関係な費用は極力削減すべきであるとされている。百貨店値札は、この
「商品価値とは無関係でありながら、最終的に消費者に転嫁されるコスト」 の最たるものと、以前から認識されていた。
現在、百貨店で販売されるアパレル商品の値札は、ほとんどが納入業者であるアパレルメーカーが印字、取り付け作業を負担しており、そのコストは商品一点あたり
30円〜40円といわれる。この数字をもとに、百貨店販売商品の総額を平均上代 5500円で割って得られた商品点数をかけて試算すると、約
300億円のコスト削減効果が見込まれるわけだ。
「値札レス」 のメリットは、コスト削減だけにとどまらない。商品が売り場に届くリードタイムも、業界アンケートをもとに試算すると、半日から
2日の短縮が期待される。これにより、従来生じていた販売機会の損失が軽減されることから、売上増加につながることも期待される。
さらに、SCMの基本となる商品管理精度のアップと、その情報共有円滑化も、大きな効果のひとつである。これまでは、納入業者であるアパレルメーカーは、EDIのベースとなる商品情報マスターの作成と、値札作成・取り付けの二重の手間を要求されていた。そのため、ややもすると商品情報の精度が落ちる傾向があり、EDI導入・運用のネックとなっていたが、「値札レス」
の導入により、こうした情報の精度があがり、SCM全体の円滑化につながると考えられている。
このように、「値札レス」 導入のメリットは、アパレルメーカー、百貨店の両者にとって明白なこととなっているが、実際の導入はまだこれからの状態だ。アパレル商品における
「値札レス」 の運用実績は、約 10パーセント程度といわれており、本格的運用は今後に待たれている。
また、運用導入本格化によってもたらされる削減コスト
300億円の配分に関する考え方も、大きな問題となっている。
百貨店側の一般的な考え方は、コスト削減効果があれば、それによって生じる利益は、アパレルメーカーが百貨店に納入する際の掛率見直しに反映されるべきだというものである。要するに、コスト削減効果で利益がもたらされる以上、下代引下げが行われてしかるべきとの主張である。
それに対して、アパレルメーカー側は、本来は小売店が自ら行うべき値札取り付け作業を、これまで、納入業者が肩代わりの形で実施してきたことこそが異常であり、「値札レス」によって本来の形に返るだけのことなのだから、それによって生じるコスト削減効果は、全面的にアパレルメーカー側に還元されてしかるべきとの考えである。
この問題に関しては、時間をかけた論議が必要とみられる。
一方、税制改正の一環で、小売商品の価格表示を
「総額表示」 方式に移行させようという動きが出て、注目されている。
今年 1月 17日に閣議決定された 「平成
15年度税制改正大綱」 では、「消費者に対して商品の販売、役務の提供等の取引を行うに際し、予めその取引価格を表示する場合には、その商品や役務に係る消費税等の額を含む価格を表示することを義務付ける」
こととしている。
これは一部で 「内税方式」 への移行と解されているが、厳密に言えばあくまでも外税方式であり、価格表示について、本体価格と消費税額を合計した「総額表示」を行うというものである。この法案が通れば、平成
16年 4月 1日から実施される。
なお、総額表示は、値札、店内表示、チラシ、商品カタログなどに適用される。法律で義務付けられるが、罰則規定はなく、当面行政指導による運用となる見込みだ。
この方式が実施された場合、税務会計の運用について、従来との微妙な違いが生じることが明らかになっている。例えば、売上・仕入れ伝票においては、原価、売価ともに税込価格を表示した場合でも、基幹業務を行うコンピュータで税抜き計算を行い、それによって会計帳簿金額を算出する必要がある。また、端数処理に伴い、消費者から徴収する消費税額と、小売店が納税する額との間に差異が生じる可能性が高い。
こうした問題があるため、従来とは異なった税務会計の処理方法が求められ、アパレルメーカー、小売店の情報システム部門は、システムの再構築を行わなければならないことになる。
また、もしソースマーキングでブランドタグにメーカー希望価格を表示した場合、消費税率の改定が行われた際にどのように対応するのかが大きな問題となる。
外税方式であれば、本体価格に新税率をかければいいのだが、総額表示の場合は、税率改定の度にラベルを貼り直すなどの処置が必要になる。それを行わない場合は、本体価格が自動的に値下になったものとみなすという形を取らざるを得ず、それで納得できるかが問題となる。
こうした問題が生じるため、システム面での対応として、POS機能のアップ、単品マスターの変更、ホストコンピュータのシステム変更などが求められる。また、表示方式切替時の受注残、返品などの処理も問題となる。
このため、これまで推進してきた「値札レス」の取り組み自体を、根本から再検討しなければならない可能性もあり、今後の展開が注目されている。
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