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日本版 QR の三点セットとして訴求されたJAN
コード、EDI、QR コードセンターであるが、集約すれば受発注を電子的に行ない、効率化するための EDI(電子商取引)がその基盤と考えられてきた。この
EDI は現在のところ、大手アパレルと百貨店、量販店の間ではかなりの広がりを見せている。
一方、導入の遅れている中小アパレル向けに、低コストで
EDI を実現できる Web-EDI が盛んに提案されているが、その進展は期待ほどではない。
その根底には中小アパレルにおける IT インフラ整備のアンバランスが見え隠れする。
従来、大手アパレルと百貨店、量販店などの間で行なわれてきた
EDI は、VAN 回線を使用するため、コストがかさみ、中小アパレル段階では実現が非常に困難とされてきた。しかし数年前からテキスタイル−アパレル間(AT)、小売−アパレル間(RA)をインターネットの
Web を使用して結ぶ Web-EDI がいくつか提案され、注目を集めている。
Web-EDI は、ADSL などによるインターネット常時接続環境さえあれば非常に手軽に実現できるため、通信コストがVAN使用に比べて非常に安く、また通信速度も速いため、中小アパレルの
EDI 導入の切り札になるものとして期待されている。
しかしながら、その導入は期待ほどには広まっておらず、いくつかの問題が指摘されている。
現在活用されている Web-ED Iは、AT
間ではE シャトルの運営する AT ネット、RA 間では、伊勢丹データセンターの IQRS ドットネット、NTT
コミュニケーションズの d2s-eMP、富士通のコラボエージェントなどがある。また、物流 EDI としては、ビッグバンの運営する
JAICS-L Boy が提案されている。
こうし たWeb-EDI の利用料金は、d2s-eMP
を例にとると、初期登録が 2万 5千円、月額基本料金が 1万 5千円と、従来の VAN 回線を利用した場合の料金が安くても月額数万円になるとみられることと比較しても、格段に低コストとなっている。
これほど低コストで実現可能である以上、急速な導入拡大が期待されていたが、実際には期待どおりの進展は見せていない。導入企業数は、この分野では最も早く立ち上がった
IQRS ドットネットで、現在 180社程度とみられる。これは百貨店の取引先の総数から見れば、非常に少ない数である。
百貨店サイドの情報システム担当者からは、「従来の
VAN 回線使用の方式ではコストが負担しきれないという中小アパレルの声に応えて、Web-EDI を提案したのだから、受発注業務の効率化のためにも、ぜひ導入してもらいたいのだが、なぜこれほど導入が進まないのか、理解できない」と不満の声が続出している。
百貨店という大企業の目からは、せっかくの低コスト
EDI の仕組みに乗ってこないのは中小アパレル側の怠惰としかみえない。
一方、中小アパレル側には Web-EDI に踏み込めないそれなりの理由がある。
第一の理由は、中小アパレルにおける IT リテラシーの低さである。最近行なわれたいくつかの調査をみる限り、中小アパレルでも
IT インフラ整備はかなりの進展をみせている。少なくとも、部課単位で 1台以上のパソコンが導入され、インターネット活用の比率も増加している。とはいえ、こうした調査は、例えばアンケートなどでは、回収率の問題がある。通常こうしたアンケート調査の回答は
20%程度にとどまることが多く、集計結果として 80%の企業がインターネットを導入しているとしても、その背景には、未回答の
80%内外の企業が、多くは IT インフラ未整備のまま存在すると見なければならない。
第二の理由は、中小アパレル企業における IT
インフラのアンバランスな現状である。
いくつかのアンケートの回答をみる限り、中小アパレルの多くが汎用機ベースの情報システム構築をお行なっていることがわかる。そして、問題点として、多くの企業が情報システム部門の人員不足とそれにともなう過剰な業務負担を挙げている。これはとりもなおさず、中小アパレルにおける情報システムの現場との遊離を物語っている。
多くの中小企業は、バブル期にインフラ投資として高コストの汎用機を導入し、その管理運営要員として、IT
技術者を採用した。本来ならば、この汎用機ベースのシステム構築は、各現場のパソコンとの連動を前提としたものであったはずだが、その後のバブル崩壊により、多くの企業はその連動を図るシステムを構築するに至っていない。
そのため、社内の業務システムが、情報システム室のスタッフのみわかるものとなっており、現場のスタフはたとえウィンドウズ・パソコンが使いこなせても、社内の汎用機ベースの業務システムには手を出せない構造になっている。
情報システム室の人員もバブル崩壊以後減少傾向にあり、「自分がいなければ業務がストップしてしまうので、休暇をとることもできない」と言うほどの業務負担となっている企業も珍しくない。スタッフは日々のシステム運営管理に忙殺され、現場スタッフからのデータ資料のアウトプットを望む声にも十分に応えきれない状況が一般化している。つまり、せっかくの
IT インフラが活かしきれていないのである。
こうした状況にあるため、百貨店サイドから提案されている
Web-EDI に対しても、情報システム室スタッフの目には、新たな業務負担としか見えないものとなっている。
一部、量販店との EDI に対応している中堅アパレルの情報システム室スタッフは、「ただでさえ、量販店の
EDI への対応で、標準化未整備による多端末現象に悩んでいるのに、百貨店との Web-EDI にまでは手が回らない」、「Web-EDI
はパソコンベースなので、結局データを入力しなおすという『力技』が求められ、対応しきれない」というコメントが、現状を端的に物語っている。
とコメントしている。
Web-EDI は、インターネット利用を前提としているため、パソコンベースの運用となる。しかし、多くの中小アパレルでは、基幹システムの汎用機と現場のパソコンを結ぶ仕組みが未整備のままになっている。このため、「低コストで導入しやすい」と見られていた
Web-EDI が、実際は情報システム室スタッフの業務負担増大をもたらすものと受け取られるという、皮肉な結果になっている。
こうした現状を打開するために、汎用機ベースからサーバー・クライアント・システムへのダウンサイジングを志向する動きもあるが、初期投資の大きさと社内の
IT リテラシーの低さから、思うに任せないのが現状で、抜本的な対策が必要となっている。
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