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SCM の進展に伴い、物流分野の IT化が注目されている。受発注の
EDI はいわば数字のやり取りであり、システム整備のみで済ませることが可能だが、物流は現実の「モノ」の移動に即したデータ交換が要求されるため、構築が難しい。それだけに、これまで手付かずになっていた部分が多く、アパレルメーカーが本格的に着手すれば一挙に進展する可能性もある。
現在、「LOBINESS(ロビネス)」、「JAICS-L」 といったシステムが稼動しており、さらに、「JAICS-L」
の機能を絞り込んで中小企業向けのASPサービスとした 「JAICS-L BOY」 も提案されている。
トータルSCM志向の 「LOBINESS」
と、物流 EDI に特化した 「JAICS-L」
「LOBINESS」 は、大阪アパレル物流連絡会
(OAP) と日本ユニシスが開発した物流BPRシステム。インターネットWeb を利用した ASPサービスで、日本ユニシスがサービス・プロバイダとなり、アパレルメーカー、納品代行、小売業者間を結び、最終的に総合的に
SCM につなげることを目的としている。
アパレルメーカー側のメリットとしては、(1) 伝票レスによる伝票入力・発行・管理作業などの軽減、 (2) 未納品管理による販売機会ロスの削減、(3)
電子認証による受発注業務の効率化が挙げられる。
一方、納品代行業者にとっては、(1) 検品のスピード化や共同配送による集配業務効率化、(2) 商品追跡のシステム化による問合わせ対応業務の軽減などがメリットとなる。
OAPの上部組織である日本アパレル物流連合会 (NAP) は昨年 4月、同システムが ASP サービスであるだけに、「インターネット接続環境さえあれば、中小企業でも手軽に活用でき、リアルタイムに情報を把握・共有化できるため、標準的なインフラとして広げていきたい」
と発表して普及に努めている。しかしながら、このシステムが納品代行業者との連携を前提としているだけに、レナウン、ナイガイなど百貨店取引のある大手アパレル関連企業に先行して導入されているのが現状だ。
一方、「JAICS-L」 は日本アパレル産業協会と富士通エフ・アイ・ピーが開発したアパレル物流 EDI システムである。「LOBINESS」
が 「伝票レス」 など受発注業務まで視野に入れて SCM 全般を志向しているのに対し、「JAICS-L」 はあくまでも物流に特化したシステムとして開発された。
物流 EDI 標準の JTRN に準拠し、統一荷札の発行、運賃計算処理、請求書チェックなどの自動化を可能にしたほか、データセンターが一元管理することにより、出荷した荷物の状況を追跡把握するトレーサビリティを向上させている。
またアパレルメーカーのホストコンピュータとの連携が可能なので、SKU レベルでの処理が可能となっている。
現在、「JAICS-L」 は三陽商会が導入して本格稼動に入っており、大手アパレルを中心に 10社以上が導入を検討している。
このように、現在提案されている代表的な二つの物流システムは、オンラインによる集配作業のスピード化や、トレーサビリティ強化による問合せ業務の簡素化など、「モノ」
の動きの効率化を追及して、SCM を推進させる機能を謳っているが、基本的な部分で性格の違いがあり、棲み分けも可能とみられている。
まず 「LOBINESS」 だが、導入にあたっての「敷居の低さ」が特徴である。インターネット活用の ASPシステムであるため、初期コストが最小限で済む。さらに、受発注部分にいたる
EDI までカバーしているため、小さなコストで SCM 全般につながる環境を実現できるというメリットもある。
しかしながら、中小企業では基幹業務システムを汎用機ベースで構築しながら、パソコンベースの現場に落とす仕組みが未整備な企業も多いため、ASP
システムとの連動が図れないというケースも散見する。このため、せっかくの 「敷居の低さ」 がミスマッチになっているとの指摘もある。
また、SKU ベースでの動きを前提としていないので、一般にはダラー管理に対応するシステムと受け取られている。
対するに「JAICS-L」 は、物流に特化した EDI システムであり、アパレルメーカーのホストコンピュータとの連動を前提としている。それだけに、導入にあたってはカスタマイズなどにかなりの初期コストがかかるが、SKU
対応できめ細かい ASN 体制に即応できる強みがある。現在、物流業界の主要 10社が 「JAICS-L」 のネットワークに対応しており、近日中に
20社が対応するものと見られるため、本格運用のベースは確立しつつある。
こうしたシステムの性格の違いを見据え、大手アパレル業界では、「ダラー管理対応の 『LOBINESS』、SKU
対応の 『JAICS-L』 という認識で棲み分けられるという見方が広まっている。また、全般的 なSCM 志向の「LOBINESS」
に連動して、「JAICS-L」 を物流専門システムとして活用することも可能とみられる。
路線便対応の簡易システム 「JAICS-L
BOY」
以上の 2システムは、アパレルメーカーから百貨店への納品を主要業務とし、実際の配送にあたっては納品代行業者を使うことを前提として開発された。そのため、中小アパレルから専門店に向けての宅配業者による路線便使用を前提とした物流を考えた場合、機能的にトゥーマッチであり、それが中小アパレルが物流分野のIT化を進めようとする際に、選択肢に入りにくい原因となっていた。
この問題を解決するものとして期待されているのが、「JAICS-L」の機能を圧縮してASPサービスとした「JAICS-L
BOY」である。
このシステムはビッグバン (本社・京都市) によって運営されており、月額使用料が 3500円という低コストが特徴である。
インターネット上で出荷データを入力すれば SCM ラベルが自動印刷され、複写式の伝票を手書きする必要がない。また、この入力が集荷指示に直結し、スピーディな集荷が行なわれる。SKU
対応なので、検品レスにつなげることも可能で、トレーサビリティは 「JAICS-L」 の機能を受け継いでいる。納品代行業者に対応しないことを除けば非常にコストパフォーマンスの高いシステムとして注目されている。
大手アパレルにおいても、店舗間移動に際しては 「JAICS-L BOY」 の方が使いやすいとして、使い分けることも検討されている。
こうした状況の中で、物流業界では手書き伝票を配送センターでデータ化する 「ダム方式」 を見直し、現場のドライバーがそれぞれ携帯端末を持ち、集荷段階からデータ化する方向で、正確で低コストの効率的な物流を実現するという
IT化の促進が模索されている。
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