|
次世代 EDI の主流として期待されるのが、インターネットを活用した Web-EDI
だが、その重要なファクターとなるのが、XMLである。現在、BtoB では ebXML が国際標準として整備されつつある。
日本チェーンストア協会(川島宏会長)は今年 3月に、インターネットを活用した EDI は、ebXML に準拠するという方向を打ち出した。これまで同協会は
JCA 手順を標準としてきたが、この新方針により今後、対チェーンストアに限らず、業界全体として Web-EDI
普及に加速度がつくものと期待される。
現在 EDI は、VAN 回線を使用した従来型 EDI と、新世代 EDI
として喧伝されている Web-EDI の 2種類が行なわれているが、いずれも決定打にかけるジレンマを抱えている。
チェーンストア業界で言えば、これまで標準 EDI 手順としてきた JCA 手順は日本チェーンストア協会(JCA)が80年に策定したものだが、20年以上前に導入されたものだけに、英数字以外の文字と画像の送受信ができず、通信スピードが
9600KB 止まりなど、IT による通信が飛躍的に進歩した現状では制約の多さが目立つ。
そのため、現在は受発注データは JCA 手順で、商品のサンプル画像などはインターネットの添付ファイルでやり取りするなどの煩雑な手法を取らざるを得ない。
これに代表されるように、従来型 EDI は継続・頻繁・大量のデータ交換においては非常に安定しているために、生産性向上に寄与してきたものの、柔軟性に欠け、最近の
BPR(ビジネスプロセス改革)の進展に追いつかないというきらいがある。また、コスト面、要員面での要求レベルが高く、中小企業にとっては大きな導入障壁となっていた。
一方、最近になって注目の高まる Web-EDI は、ブラウザさえあれば手軽に開始することができ、コストも非常に安いなど、メリットがさかんに訴求されている。
しかしながら、現実には中小企業にとっては、基幹システムとして使用している汎用機からデータを自動で送り込むバッチ処理が困難で、パソコンに向かっての手入力の比重が高いというデメリットがある。そのため入力ミスの危険性が常に付きまとい、工数削減にも結びつかない。
このため、新世代 EDI として訴求されながら、実際の導入がなかなか進まないというジレンマに悩まされている。
こうしたジレンマを解消するものとして期待を集めているのが、XML である。
XML は Extensible Markup language の略で、現在 Web-EDI で使用されている
HTML に代わるものとして実装の標準化作業が進むページ記述・メタ言語である。独自に「タグ」を付けて業務システムを記述できる機能を持つ。
「タグ」とは、画面の裏に隠れて、表側に記述された言葉や項目の性格・内容を明確に規定する表札のようなものと考えると理解しやすい。
例えば、EDI ではやり取りされる項目の裏側に「発注者コード」「受注者コード」「製品コード」などの標準的な「タグ」を付けることができる。企業によっては基幹システム段階の項目名としては「製品コード」ではなく「商品コード」と呼称するケースがあったとしても、常にその裏側に「製品コード」という標準タグを付けることにすれば、基幹システムの汎用機からデータを
Web-EDI にのる形に自動変換してパソコンで受け取ることが可能になり、その逆も容易であるため、EDI の自動化が飛躍的に進展する。
また、HTML ベースでの検索は、キーワードを指定するとその言葉を含む全てのページが検索されるが、XML を使用すれば、ピンポイントの検索が可能になるなどのメリットがある。
また、インターネットを前提としたものだけに、転送速度は ADSL や光ファイバーなどのブロードバンドを利用すれば、実効スピードとして
1〜20MB は十分期待される。また、使用文字の制約も最低限になるなどメリットが大きい。セキュリティの問題をきちんとクリアすれば、かなり使いやすいものになることが確実だ。
このように XML は Web-EDI を実効的なものにするための非常に有効な手段となりうるが、システム的には非常にシンプルなものだけに、利用者の裁量度が高く、いろいろな「方言」が乱立する危険性も秘めている。そうした事態を避けるために、現在、世界的に一つの方向性に収束する動きがあり、それが
ebXML だ。ebXML は情報の搬送方式、データの文章構造、セキュリティなど、技術的側面においては SOAP(シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル)という手順に準拠することとして、異なった手順の乱立をあらかじめ防止している。流通業界における国際的な標準化団体である欧州のEANと米国のUCCも、Web-EDI
の方式として ebXML に準拠することを表明している。
ただ、ebXML の実運用に関しては、まだ詳細なルールや手順が明確化されていないため、今後の検討を待つことになる。しかし弾みがつけば近い将来、かなりの勢いで普及するものとみられる。
現在、SCM 推進協議会を窓口として、繊維ファッションXML統合研究会がこの方面の作業を行なっており、今年
3月に、日本語タグなどのメッセージ標準仕様を定めた報告書第一分冊を発行した。
こうしたシステム標準の変化は、当然インフラの変化も促進する。VAN を利用した従来型 EDI からインターネット活用の
XML による Web-EDI への変化は、企業内の情報システム整備をうながすことが確実だ。基幹システムとパソコンとの連携が容易になれば、イントラネットなどを活用した効率化がやりやすくなり、企業内でのデータ活用が盛んになる。
この動きに乗り遅れる企業は競争力を失うとみられるため、IT化はこれまでにも増して、生き残りの必要条件になると考えられる。
|