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アパレル業界の
SCM/EDI
#2-09
H15.7.3 (「繊維ニュース」 6月 25日付に掲載)

VICS 2003 報告
着実に進展する米国の流通 IT 化


米国の流通 SCM 関連のコンベンション、VICS/リテイルシステム 2003が、6月 10日から 12日までの3日間、シカゴで開催された。

今回の大会の最大の焦点は、ICチップ(無線タグ)による非接触型認識技術の RFID で、これに関するセッションは他分野に比して明らかに多くの参加があった。これだけの関心を集めたのは、将来的にはバーコードに替わる技術といわれ、ウォルマートなどの先進流通企業によって導入開始されているものの、コード体系の標準化すら作業途上にあり、表面的な紹介が行なわれているにすぎないため、業界が具体的な情報を求めていたためとみられる。

ウォルマートはとりあえず、上位 100社の取引先に、2005年までにすべての納品のパレット、カートンのレベルで RFID を付けるように要請した。

これは、二つの意味合いをもつ。一つめは、RFID 導入の当面の目的が単品管理ではなく、物流効率化にあることである。パレット、カートン単位ということは、出入荷データの自動処理、荷物の所在を明らかにするトラッキング、そして ASN(事前出荷通知)の徹底を狙うものだ。

二つめの狙いは、IC チップの単価低下を促進し、将来的な単品管理への道筋を短縮化させようというものだ。現在のところ、IC チップの単価はものにもよるが、2米ドル程度といわれている。これが 20セント程度まで低下すれば、使用は劇的に拡大するが、手をこまねいていてはなかなか下がらない。そのため、可能な部分から徐々に使用を拡大するという現実的な路線を選択したものだ。2年後になれば、チップも価格がこなれ、単品レベルでの適用が現実のものになることが期待される。その意味で、ウォルマートの戦略はかなり現実的なアプローチということができる。

また、3年ほど前から流通効率化の切り札的戦略として注目されている CPFR(共同需要予測・商品補充システム)では、ウォルマートなどの先進流通企業が、P&G などの日用品分野を中心に実施し、大きな成果を収めている。アパレル分野では、下着、ストッキングなどのベーシック商品を扱うサラ・リーや、ジーンズのリーバイスが着手して、一定の成果を収めていると伝えられるが、いわゆるファッション商品での成功例は、まだ報告されていない。

CPFR は多品種小ロットの商品においてこそ、最も効果を発揮するという積極的推進論もあるが、実際には、業務フローの最初の段階に各アイテムの需要予測を行うため、SKU 数が多く、有効期間が短いファッション商品は適用が難しい。

今回の VICS 大会のセッションでは、シアーズ・ローバックが最初の CPFR 導入として、タイヤメーカーのミシュランとの取り組みを開始したと発表した。ファッション商品への適用の道のりはまだ長いと見なければならないだろう。

トピックスとして取り上げられやすい新技術以外では、Web-EDIや、需要予測、POS データとの連動による予算・生産・在庫管理、マークダウンの最適化などを行なうマーチャンダイジング・システムが、かなり成熟をみせている。業界にも広く普及して、既に特別の技術ではなくなった。

オンワード樫山 USA の住宏明社長によると、米国の百貨店市場でも Web-EDI はかなり普及しつつある。フェデレーティッド・グループは、00年 8月から納入先に EDI 実施を強制する形をとっており、物流合理化のため、納品時のケースにもバーコードを付けることを要求している。

しかしながら、サックス・フィフスアベニューは確実に実施しているが、多品種小ロットの高級ゾーンを主体とするニーマン・マーカスでは現場の不慣れのため実施が先送りされているなど、運用は一律ではない。これによっても、SCM 技術の適用が、マス商品において先行している現状がうかがわれる。

システムの開発・運用に関しては、米国の流通業界においても、当初は各社が独自システムを自社開発していたが、このところ、アプリケーション・パッケージの導入が増加している。

GAP 社は、自社開発の既存システムを廃棄し、各分野でアプリケーション・パッケージの導入に踏み切った。従来システムが新規ニーズへの対応でつぎはぎ的なものとなり、非常に使いにくくなったためである。同社は「自社要員はそれぞれのシステムの『つなぎ』を行ない、トータルな管理業務に専念できる」と、メリットを強調している。

同社はこの 2〜3年業績低下が伝えられていたが、最近 8ヶ月連続で前年同月比をクリアするなど、回復が目立つ。その原動力といわれる「オールド・ネイビー」の直営店 19社をモデルケースとして、360コマース社(本社=テキサス州)開発のジャバ・ベースの POS システム「ポシビリティ」を導入し、成功を収めている。10月以降、全米の店舗に導入する予定だ。

また、リミテッドは高級下着ヴィクトリアン・シークレットの業務にまで 2つの需要予測アプリケーションをベースとした MD システムを導入、成功を収めている。これは JDA ソフトウェア(本社=アリゾナ州)の開発によるもので、「アーサー」は期初販売計画作製の要素が強く、「E3」は SKU レベルでの販売動向に沿った自動補充を自動化する。この 2つの組み合わせで、MD 最適化を行なっている。

これらのアプリケーション・パッケージは、多様なものが開発されており、またいろいろなモジュールを「相乗り」的に組み合わせた統合パッケージも提案されるなど、展開が本格化している。

消費者向けの BtoC 分野では、アマゾン・ドット・コムがついに利益ベースに乗った。同社は創業以来赤字経営が続いていたが、統一したプラットフォームによるウェブ上の 1ページで、顧客が 1クリックで快適な購買を行なえる技術開発と、配送などのインフラ整備により、軌道に乗った。今回の大会の基調講演を行なったジェフ・ベゾス CEOは、「アマゾンはテクノロジー企業である」と宣言し、開発した Eコマースのアルゴリズムを他社のウェブ販売にも提供するなど、新機軸のビジネスを開始している。

BtoC は利益を上げにくいといわれてきたが、実際にはカタログ販売に変わるものとしてオンラインの消費者向け販売は着実に増加しており、この部分の進展も見直される傾向にあるようだ。


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