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アパレル業界の
SCM/EDI
#2-10
H15.10.29 (「繊維ニュース」 8月 に掲載)

SCMの台風の目となるRFID
標準化作業が進む


今年 6月に米国シカゴで開催された VICS展で最も注目を浴びた最新技術は RFID だった。この技術は米国ばかりでなく、世界の流通業界における台風の目となる可能性がある。

RFID とは、ICチップを利用した無線タグ。これまでのバーコードはスキャナーを接触させてデータの読み取りを行なうが、RFID は非接触での読み取り可能な上、データ容量も13桁のバーコードとは比較にならないほどの大容量となる。

現状でも、CDショップなどの万引き防止システムや JR の「スイカ」などに適用され、多大な効果を収めているが、アパレル業界における普及には、現在のところ ICチップの単価の高さとデータ標準の未整備により、時期尚早と見られている。しかしながら、将来的にはバーコードに取って代わることが確実だ。

日本アパレル産業協会は、このほどアパレル業界向け RFID の標準化を進め、本格的な普及を促すため、「アパレル業界標準RFIDシステム推進委員会」を組織し、7月 31日に第 1回本委員会を開催した。これは経済産業省の「次世代物流効率化システム研究開発事業」に採択されたプロジェクトの一環である。ビジネスモデルの作成、データ標準の検討、アプリケーションソフトの開発などを行なった上で、年明けには、縫製工場―アパレル倉庫―百貨店を結んだ実証実験も予定している。

問題は ICタグの周波数だ。米国では 800〜900MHのUHF帯が使用されているが、日本では認可の関係で使用できない。従来国内の主流であった 13.56MHの周波数では、認識距離が短いなどの問題があった。

今回は日本でも認可の見通しが立ったため、UHF帯を使用した実証実験も行なわれる見込みである。

一方、SCM 発祥の地である米国でも、RFID の導入は着々と進められている。今回の VICS では、SCM のリーダー企業と自他共に認めるウォルマートが、RFID の積極的導入の姿勢を表明した。同社は上位百社の納入業者に、05年までにすべてのパレット、カートン単位で RFID を付けるように要請した。

これは、言葉としては「要請」だが、実質的には「強制」である。つまり、RFID 対応のできない業者は、全米はおろか世界でも最大の小売業者であるウォルマートの主力サプライヤーたり得ないということになる。
このプロジェクトの当面の目的は、物流の合理化である。パレット、カートン単位で RFID をつければ、納品時のチェックが敏速かつ正確に行なわれ、かつ売り場への移動がスムーズになる。

見逃せないのは、この過程において ICタグの使用量が拡大し、それに伴い、単価の低下が期待できることだ。現在の ICタグの単価は、ものにもよるが、2米ドル程度といわれる。これが 20セント程度まで低下すれば、バーコードなど、他の種類のタグを印刷して手作業で取り付けるよりもコストが軽減できる。つまり、RFID に移行しない方が高コスト要因となる。

05年までにこうした形で ICタグの使用量が増加し、それに伴って単価が急速に下がれば、その時点で、単なる物流合理化ではなく、すべての商品に ICチップを埋め込むことによる非常に効率的な単品管理が可能になる。

ウォルマートはこれを見越して、既に SKU単位の RFID 管理の実証実験を推進している。現在のところは、P&G、ジレットなど、日用品が主力となっており、アパレル商品は対象となっていない。それは、ウォルマートの取り扱うアパレル商品が主として廉価のボリューム商品であり、現在の ICタグの単価とのバランスが取れないことが理由として挙げられる。今後 ICタグの単価が下がれば、アパレル分野でも急速に導入が進むと考えられる。

米国における RFID の研究・推進を担ってきたのは、マサチューセッツ工科大学に本部を置くオート ID センターである。これは99年に設立された非営利研究機関だが、今年10月にはオート ID インクと名前を変え、単なるアカデミックな研究機関ではなく、市場の動きに密着したコマーシャルな活動を行なう組織となる。今後はデータ標準作成などの面で、さらに大きな役割を担うものと考えられる。

オート ID センターがデータ標準作成作業の途上にあるにも関わらず、ウォルマートが独自に SKU ベースでの RFID の実証実験を進展させているのは、一見危険なように見える。しかし、実はウォルマートは、米国の商品コード・データを一元管理する UCC (ユニフォーム・コード・カウンシル) ネットの有力メンバーであり、UCC とオート ID センターは密接な連携を取りながら作業を進めている。

つまり、ウォルマートの実証実験成果が、オート ID センターや UC Cの標準化作業に常にフィードバックされ、大きな影響を与えることは間違いない。

オート ID センターは EPC (エレクトロニック・プロダクト・コード) というコード体系を開発しており、これが今後のグローバル標準となることは間違いのないところである。そして、そのコードを管理するのが UCC ネットだが、今後はそれをさらにグローバル化した GDR (グローバル・データ・レジストレーション) が組織化され、これが世界をカバーするネットワークとなる見込みだ。それを裏付けるように、ウォルマートは全ての取引先に、04年初めまでの GDR への登録を要請している。

日本においても小売業界のグローバル化が進展する以上、こうした動きから離れた存在でいるわけにはいかないと警鐘が発せられている。

アパレル業界における標準作成も、このグローバル・スタンダードに適合するものにする必要がある。


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